ネットワーク管理者的にうれしいW-ZERO3[es] Tweet
僕がW-ZERO3[es]の導入した目的の1つには、ノートPCを持ち歩かずに生活したいというのがあります。
サーバの管理なども仕事の一部としてあるため、急なトラブルがあったときに場所を問わずリモートからサーバの状態を確認し、可能ならリモートでなんらかの作業をしなければなりません。いよいよサーバがネットワーク越しにはまったく反応しない......という不幸な事態となればデータセンタに入局して作業しなければなりません。データセンタのサーバには、必ずしもキーボード、ディスプレイは接続されていませんので、シリアル端末が必要です。
幸いなことに、そんなことは年に1度か2度あるくらいのことではあるんですが、そんなときにノートPCがなかったら最悪です。それだけの理由で常時ノートPCと予備バッテリ、ACアダプタ、USB-シリアル変換アダプタやらを持って歩いているのです。
ノートPCは昔にくらべだいぶ軽くなったとはいえ、それなりに大荷物になりますし、自転車で移動する身としては、夏場は本当に辛いものです。ドイターのバックパックのように、背中に空気が流れるような構造のモノを使っていても、背中が汗だくになります。もちろん、人力で走る以上やはり荷物は軽ければ軽いほうがラク。それに、家族で買物という場面でもノートPCを持ってあるくのは、よくよく考えるとばかばかしくもあります。
そんなわけで、永年ノートPCに代わる小型/軽量な端末を探し求めてきました。で、その現時点での答えがW-ZERO3[es]というわけです。
これまでも、PalmにSSHクライアントを入れてみましたが、それはスゴイけれど、実用にはなりませんでした。Pocket BSDを真剣に使っていた時期もありましたが、マシンパワーの問題もあり、結局中途半端さゆえにノートPCに移行してしまいました。
そもそもSSHやらシリアル端末ってナニかっていうと
普通のひとには一体なんのことやらわからない話でしょうから、簡単に書きますと、SSHというのは遠隔地にあるサーバなどに対して、インターネット越しに暗号化された通信路経由でログインする(実際には文字だけの画面で操作します)ことができるソフトウェアです。暗号化されているだけではなく、パスワードではなく公開鍵を使った認証が使えるところも大きな特徴です。
SSHなら先代のW-ZERO3でも使えたわけですけど、いかんせん電話としての出来が不満でしたし、シリアル端末にならないので、ノートPCから積極的に乗り換えるには至りませんでした。
シリアル端末というのは、サーバやネットワーク機器にシリアルケーブル(RS-232C)で直接接続して、操作するためのものです。
データセンタは場所代が高いので、通常は液晶モニタやキーボードといったサーバの動作には必要のないものをサーバには繋がないケースも多いものです。実際、Sunのマシンなどは、フレームバッファといって画面を表示するためのボード(PCでいうビデオカードですね)を付けてない場合も多いだろうとおもいます。また、スイッチなどのネットワーク機器は、Webベースで管理できるものもありますが、やはりシリアル端末から設定するものも多いですし、WebやGUIの管理ツールがあっても、シリアル端末を好む管理者も多いんじゃないでしょうか?
とはいえ、最近ではGUIがないと管理できないというヘッポコ管理者も多いようですが、我々のような計算機屋・ネットワーク屋な人々がデータセンタで作業するにはシリアル端末が必須なのです。
そんなわけで、SSHによる遠隔ログインとシリアル端末の必要性から、ノートPCを持ち歩くということになるわけです。一部にはリナザウことLinux搭載Zaurusをシリアル端末に仕立てていた方々もいらっしゃったようですが、個人的にはノートPCから乗り換えるほどの魅力を感じなかったのが正直なところです。
W-ZERO3[es]ならSSHクライアント&シリアル端末になりそうじゃん
そんなところに登場したのがW-ZERO3[es]です。
W-ZERO3[es]は従来機と違い、USBホスト機能を持っているのが大きな特徴の1つとして挙げられます。それゆえに、USB-シリアル変換アダプタが使えるなら、シリアル端末になりそうです。W-SIMによるPHS通信/通話機能を内蔵していますので、単体でSSHクライアントになれるうえに、それなりに打てるキーボードが内蔵されているので、使い勝手の上でも問題なさそうです。
USB-シリアル変換アダプタについては、ラトックシステムから、PocketPC2003、Windows Mobile 2003などに対応した製品REX-USB60Fが販売されているので問題なさそうです。シリアル端末エミュレータとしては、24termが、SSHクライアントとしては、PocketPuTTYをW-ZERO3対応にした実装がいくつかあったので大丈夫そうです。
さらに、W-ZERO3を買わなかった最大の理由であるデータ通信中の音声着信が受けられなかった点も改善されていて、なんだかんだ迷ったものの、発売日の翌日にヨドバシでW-ZERO3[es]を手にしていた自分がそこにいました(笑)。
結論を先に言うと、[es]はかなり使える
くわしくは後日書くつもりですが、結論としては、まったく問題なし。
下手をすると外からメールを書く場合、自宅のマシンにSSHで繋いで、その上のMUA(メーラ)でメールを読み書きしたりすることすらあるくらいに実用的です。
24termによるシリアル端末も、現状ではATOKが有効だと半角文字が表示されない(全角文字は大丈夫だったりするのがナゾ)ので、ATOKをオフにする......つまり再起動が必要なのが難点ですが、かなり実用的です。
おかげで、これまでのPCを持ち歩く生活から開放されて、W-ZERO3[es]といくつかのケーブル類だけあれば、大抵の状況に対応できるようになったのはうれしい限りです。