au版iPhone 5ユーザーは、iPhone 5sか5cに移行するとシアワセに Tweet
さて、いよいよ先週末からiPhone 5sとiPhone 5cの発売が開始され、国内ではNTTドコモの参入も相まって、これを機に既存のiPhoneユーザーもMNPでキャリアを変えようかどうしようか? いや、そもそもiPhone 5でもいいじゃん。など迷っている方も多いことでしょう。
今回のテストは、Ookla社の「Speedtest」を利用
iPhone 3Gの導入時に新規でソフトバンクで契約、のちにドコモの回線をMNPでソフトバンクのiPhone 4にしたり、あれこれして、現在はau版iPhone 5をメインで使っている筆者ですが、新しいiPhone 5s、iPhone 5cに対して、個人的に最も期待していたのは、auのLTE 800MHz(バンド18)に新たに対応することです。
これまで、au版のiPhone 5のLTEは基地局が少なく、比較的電波が到達しにくい2.1GHz帯のLTEバンドしか使えなかったため、多くの場所で3Gでの通信になってしまったり、LTEで接続できても、いわゆる「パケ詰まり」状態でデータ通信ができなかったためです。
そんなわけで、勢いでau版iPhone 5sを購入、いままでのau版iPhone 5と5sとSIMを入れ替えしながら、個人的に気になる東京都内のポイントで通信速度を測定してきました。個人的な結論は、au版iPhone 5ユーザーで、いま通信速度や接続性に不満のあるユーザーはiPhone 5sか5cに移行する価値は充分あるということです。iPhone 5sの新しい機能に魅力を感じないユーザーは、iPhone 5cでも充分だといえます。
秋分の日に比較的人の多い場所で測定
今回の測定は、昨日秋分の日の午後、都内でも比較的人の多い場所で行いました。駅ホームでの測定は、電車が停車している状況のほうが、携帯電話のユーザーが多く、回線の混雑が激しいため、電車の停車中に行いました。測定は各場所3回ずつ行ない、その平均値を採用しています。また、接続できず測定できなかったデータは除いています。また、どの回線種別で接続しているかは、iPhoneのField Testモードで確認しています。
- 千駄ヶ谷2丁目周辺の筆者オフィス
- 原宿の雑居ビル2階にある飲食店内(神宮前3丁目)
- 原宿の神宮前交差点、東急プラザ 表参道原宿前
- JR新宿駅 15番線・16番線 山手線外回り・中央総武緩行線三鷹方面ホーム
- Apple Store Ginza正面の歩行者天国路上
- JR秋葉原駅 1番線・2番線 山手線内回り、京浜東北線大宮方面ホーム
まず、簡単にLTEについておさらい
現在、auが提供しているLTEのサービスでは、以下の帯域が使われており、従来のiPhone 5ではバンド1(2.1GHz)のみしか使えませんでした。対する、iPhone 5s、5cの国内向けモデル(米国のSprint向けも同モデル)においては、バンド18(800MHz)帯に新たに対応するため、従来のiPhone 5よりもauのネットワークにおける接続性が向上することが期待できるというわけです。
- バンド1
- 2.1GHz (2100MHz)
iPhone 5、5s、5cが対応 - バンド11
- 1.5GHz (1500MHz)
iPhoneの対応なし - バンド18
- 800MHz
iPhone 5s (A1453)、5c (A1456) が対応 - バンド28
- 700MHz
今後利用予定、iPhoneの対応なし
800MHz帯LTEの接続性が圧倒的
ごちゃごちゃ言う前に、上記の結果グラフを見ていただけると一目瞭然です。iPhone 5sでも、SIMの入れ替え直後などで、2.1GHzのLTEに接続された場合は、iPhone 5の場合とほぼ同じ結果となっています。
また、同じ場所でも、電波状況などでiPhone 5では、3Gで接続されたケースがあり、その場合はLTEのデータと併記しています。
上記の場所では、いずれも、auの800MHz帯のLTEは10MHzの帯域が割り当てられていたのに対し、2.1GHz帯のLTEでは5MHzの割り当てでした。そのため、速度的にはほぼ2倍の速度がでることが期待され、混雑が激しくない場所では、ほぼ目論見どおり2倍の速度差で収まっています。しかし、原宿、新宿駅、秋葉原駅などでは、混雑のせいか2.1GHz対のLTEでの通信速度が大幅に遅くなっていることがわかります。
また、従来3Gでしか接続できなかった、千駄ヶ谷2丁目のオフィスでも、LTE接続が可能になっています。現在、自宅やオフィスでLTEが使えないユーザーでも、iPhone 5s、iPhone 5cではLTEが使えることが期待できます。
実際のところ、たとえば銀座のApple Store Ginza前などのケースでは、iPhone 5でもほとんど問題なく、iPhone 5sが、2.1GHzのLTEで接続された状態でも特に問題はありませんでした。グラフでみると著しく速度が違うのですが、メールやLINEなどでのやりとりくらいでは、特に体感できる差はありませんでした。普段の行動エリアが、そうした場所が中心のユーザーであれば、そのままiPhone 5を使い続けるのもアリだとは思います。
au版iPhone 5がほとんど通信できなかった都内主要駅では劇的な改善
個人的に、いちばん気になっていたのは、ここ最近では時間帯問わず、au版iPhone 5では、ほぼ「パケ詰り」で通信が行えなかった新宿駅や秋葉原駅などの駅ホームでの状況でした。今回の調査では、新宿駅ではやはりiPhone 5では、LTEに接続できているものの、まったく通信ができない状況が発生してしまいました。
一方のiPhone 5sではそうした問題が発生することなく、快適に通信することができました。こうした状況は、iPhone 5s、iPhone 5cへの移行が進み、800MHz帯のLTEのユーザーが増えた場合にどうなるかには不安はあるものの、iPhone 5登場当初からau版iPhone 5は、これに近い状況であったため、大いに期待が持てます。
人の多い週末の原宿では......
週末の原宿など、非常に人が多いエリアでは、以前からau版iPhone 5はやはり「パケ詰り」の状況に見舞われることがありましたが、今回の調査では、2.1GHzのLTEで接続しているiPhone 5も決して速くはないものの、普通に使う分には充分な速度は出ていました。とはいえ、このiPhone 5sとの圧倒的な差は、800MHz帯のLTEの充分な余裕を示すものでもあり、今後も快適に使えることが期待できそうです。
【おまけ】測定結果
上記のグラフの元となっている測定データを以下に示します。ご参考まで!
端末 | 接続 | 測定日時 |
Download (Mbps) |
Upload (Mbps) |
|
千駄ヶ谷2丁目周辺 | iPhone 5 |
3G (1xEV-DO) 2GHz (Band 6) |
2013/09/22 14:53 |
0.88 | 0.15 |
iPhone 5s |
LTE 800MHz (Band 18) |
2013/09/22 14:57 |
15.61 | 5.15 | |
原宿#1(店舗内) | iPhone 5 |
3G (1xEV-DO) 2GHz (Band 6) |
2013/09/22 15:30 |
1.15 | 0.88 |
iPhone 5 |
LTE 2.1GHz (Band 1) |
2013/09/22 15:38 |
3.78 | 1.92 | |
iPhone 5s |
LTE 800MHz (Band 18) |
2013/09/22 15:27 |
15.98 | 8.35 | |
原宿#2(東急プラザ前) | iPhone 5 |
LTE 2.1GHz (Band 1) |
2013/09/22 16:10 |
2.61 | 2.48 |
iPhone 5s |
LTE 800MHz (Band 18) |
2013/09/22 16:15 |
18.36 | 10.33 | |
新宿駅(山手線ホーム) | iPhone 5 |
LTE 2.1GHz (Band 1) |
2013/09/22 16:44 |
0.84 | 0.35 |
iPhone 5s |
LTE 800MHz (Band 18) |
2013/09/22 16:38 |
10.49 | 4.97 | |
銀座(Apple Store前) | iPhone 5 |
LTE 2.1GHz (Band 1) |
2013/09/22 17:23 |
8.34 | 5.85 |
iPhone 5s |
LTE 2.1GHz (Band 1) |
2013/09/22 17:18 |
7.65 | 4.04 | |
iPhone 5s |
LTE 800MHz (Band 18) |
2013/09/22 17:20 |
20.25 | 5.87 | |
秋葉原駅(山手線ホーム) | iPhone 5 |
LTE 2.1GHz (Band 1) |
2013/09/22 17:48 |
1.96 | 1.55 |
iPhone 5s |
LTE 800MHz (Band 18) |
2013/09/22 17:44 |
13.14 | 5.70 |