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2006年8月27日

ネットワーク管理者的にうれしいW-ZERO3[es]

僕がW-ZERO3[es]の導入した目的の1つには、ノートPCを持ち歩かずに生活したいというのがあります。

サーバの管理なども仕事の一部としてあるため、急なトラブルがあったときに場所を問わずリモートからサーバの状態を確認し、可能ならリモートでなんらかの作業をしなければなりません。いよいよサーバがネットワーク越しにはまったく反応しない……という不幸な事態となればデータセンタに入局して作業しなければなりません。データセンタのサーバには、必ずしもキーボード、ディスプレイは接続されていませんので、シリアル端末が必要です。

幸いなことに、そんなことは年に1度か2度あるくらいのことではあるんですが、そんなときにノートPCがなかったら最悪です。それだけの理由で常時ノートPCと予備バッテリ、ACアダプタ、USB-シリアル変換アダプタやらを持って歩いているのです。

ノートPCは昔にくらべだいぶ軽くなったとはいえ、それなりに大荷物になりますし、自転車で移動する身としては、夏場は本当に辛いものです。ドイターのバックパックのように、背中に空気が流れるような構造のモノを使っていても、背中が汗だくになります。もちろん、人力で走る以上やはり荷物は軽ければ軽いほうがラク。それに、家族で買物という場面でもノートPCを持ってあるくのは、よくよく考えるとばかばかしくもあります。

そんなわけで、永年ノートPCに代わる小型/軽量な端末を探し求めてきました。で、その現時点での答えがW-ZERO3[es]というわけです。

w-zero3es_with_sun.jpg

これまでも、PalmにSSHクライアントを入れてみましたが、それはスゴイけれど、実用にはなりませんでした。Pocket BSDを真剣に使っていた時期もありましたが、マシンパワーの問題もあり、結局中途半端さゆえにノートPCに移行してしまいました。

そもそもSSHやらシリアル端末ってナニかっていうと

普通のひとには一体なんのことやらわからない話でしょうから、簡単に書きますと、SSHというのは遠隔地にあるサーバなどに対して、インターネット越しに暗号化された通信路経由でログインする(実際には文字だけの画面で操作します)ことができるソフトウェアです。暗号化されているだけではなく、パスワードではなく公開鍵を使った認証が使えるところも大きな特徴です。

SSHなら先代のW-ZERO3でも使えたわけですけど、いかんせん電話としての出来が不満でしたし、シリアル端末にならないので、ノートPCから積極的に乗り換えるには至りませんでした。

シリアル端末というのは、サーバやネットワーク機器にシリアルケーブル(RS-232C)で直接接続して、操作するためのものです。

データセンタは場所代が高いので、通常は液晶モニタやキーボードといったサーバの動作には必要のないものをサーバには繋がないケースも多いものです。実際、Sunのマシンなどは、フレームバッファといって画面を表示するためのボード(PCでいうビデオカードですね)を付けてない場合も多いだろうとおもいます。また、スイッチなどのネットワーク機器は、Webベースで管理できるものもありますが、やはりシリアル端末から設定するものも多いですし、WebやGUIの管理ツールがあっても、シリアル端末を好む管理者も多いんじゃないでしょうか?

とはいえ、最近ではGUIがないと管理できないというヘッポコ管理者も多いようですが、我々のような計算機屋・ネットワーク屋な人々がデータセンタで作業するにはシリアル端末が必須なのです。

そんなわけで、SSHによる遠隔ログインとシリアル端末の必要性から、ノートPCを持ち歩くということになるわけです。一部にはリナザウことLinux搭載Zaurusをシリアル端末に仕立てていた方々もいらっしゃったようですが、個人的にはノートPCから乗り換えるほどの魅力を感じなかったのが正直なところです。

W-ZERO3[es]ならSSHクライアント&シリアル端末になりそうじゃん

そんなところに登場したのがW-ZERO3[es]です。

W-ZERO3[es]は従来機と違い、USBホスト機能を持っているのが大きな特徴の1つとして挙げられます。それゆえに、USB-シリアル変換アダプタが使えるなら、シリアル端末になりそうです。W-SIMによるPHS通信/通話機能を内蔵していますので、単体でSSHクライアントになれるうえに、それなりに打てるキーボードが内蔵されているので、使い勝手の上でも問題なさそうです。

USB-シリアル変換アダプタについては、ラトックシステムから、PocketPC2003、Windows Mobile 2003などに対応した製品REX-USB60Fが販売されているので問題なさそうです。シリアル端末エミュレータとしては、24termが、SSHクライアントとしては、PocketPuTTYをW-ZERO3対応にした実装がいくつかあったので大丈夫そうです。

さらに、W-ZERO3を買わなかった最大の理由であるデータ通信中の音声着信が受けられなかった点も改善されていて、なんだかんだ迷ったものの、発売日の翌日にヨドバシでW-ZERO3[es]を手にしていた自分がそこにいました(笑)。

結論を先に言うと、[es]はかなり使える

くわしくは後日書くつもりですが、結論としては、まったく問題なし。

下手をすると外からメールを書く場合、自宅のマシンにSSHで繋いで、その上のMUA(メーラ)でメールを読み書きしたりすることすらあるくらいに実用的です。

24termによるシリアル端末も、現状ではATOKが有効だと半角文字が表示されない(全角文字は大丈夫だったりするのがナゾ)ので、ATOKをオフにする……つまり再起動が必要なのが難点ですが、かなり実用的です。

おかげで、これまでのPCを持ち歩く生活から開放されて、W-ZERO3[es]といくつかのケーブル類だけあれば、大抵の状況に対応できるようになったのはうれしい限りです。

2006年8月22日

W-ZERO3 [es]用のUSB HUBを作る

発売日の翌日に導入してから1カ月ほどとなるウィルコムのスマートフォン“W-ZERO3[es]”ことWS007SHですが、ようやく環境も整い、TRGproからCLIE PEG-SJ33と使ってきたPalmデバイスと涙のお別れもできそうなくらいに、移行作業も済みつつあります。

『涙』のとわざわざ書いたのは、Windows CE(Windows Mobile)を使えば使うほど、Palm OSとそのアプリの出来のよさ、そしてなによりセンスのよさを実感するからです。

とはいえ、2台も「PDA」を持ち歩くのはばからしいですし、実際、『機能』だけならW-ZERO3[es]に移行することもできますので、ここ数日はCLIEは持ち歩かない生活を送ってみています。

CLIEからのデータ移行(主にメモとKeyringによるパスワードデータベース)や、これまで使ってきたウィルコムのPHS「京ぽん2」ことWX310Kあたりとの違いといったことも順次書いていきたいと思いますが、今日は、W-ZERO3[es]用にUSB HUBを作った(?)というネタをお送りします。

いまさらのW-ZERO3[es]ネタ、それも最初のエントリがコレっていうのもナニですが、しばしおつき合いくださいませ。

usb_hub_03es_7.jpg

Mini-ABっていったい?

W-ZERO3も[es]になってはじめて、USBホスト機能が搭載され、外付けのキーボードやカードリーダ、USBメモリ、USB-シリアルアダプタなどが使えるようになりました。

とはいえ、PCと同じようなコネクタが付いているわけではなく、本体側コネクタとしてザウルスなど一部の機器で使われてきた「Mini-ABレセプタクル」が使われています。

もともとUSBではホスト側に使うプラグと周辺機器側のプラグの形状が異なっていて、誤って配線することがないようになっているのだけれど、1台の機器がUSBホストと周辺機器の両方になるUSB On-The-Goという規格では、ホスト側の「Mini-Aプラグ(下の写真)」と周辺機器側の「Mini-Bプラグ(これがおなじみのやつ)」の両方が挿せるような「Mini-ABレセプタクル」が導入されました。

usb_hub_03es_2.jpg

W-ZERO3[es]は、やはりUSBホスト側にもUSB周辺機器(PCに繋いでActiveSyncでデータの同期をするのが主な目的)にもなるので、「Mini-ABレセプタクル」が使われています。同じような機器でも、「Mini-Aレセプタクル」と「Mini-Bレセプタクル」のそれぞれが付いているものもありますが、おそらく、W-ZERO3[es]ではサイズの制約から「Mini-AB」が使われているのでしょう。

「Mini-Aレセプタクル」には「Mini-Aプラグ」、「Mini-Bレセプタクル」には「Mini-Bプラグ」しか挿さらないのだけど、「Mini-ABレセプタクル」はどちらのプラグも挿さるので、この端子に挿さっているのが「Mini-A」なのか「Mini-B」なのか……、つまりUSBホストとして動くべきなのか、周辺機器として動くべきなのか判断できる仕組みが必要です。USBは本来4ピンのところ、Mini-A/Mini-Bには5つのピンあるのですが、その『余分』とも思われるMini-A/Mini-BプラグのIDピン(4番ピン)がGNDに接地されているか(Mini-A)、開放されているか(どこにも繋がっていない=Mini-B)がキーになるのです。

W-ZERO3[es]の場合、本体側が「Mini-AB」ゆえに物理的にはどちらも刺さるので、Mini-Bプラグの4番ピンと5番ピン(GND)をショートさせて、Mini-Aプラグとして使うような改造もけっこうメジャーのようですね。実際世の中にはグリーンハウスの「GH-USBK5」というUSB Aレセプタクル(メス)とmini-Bプラグ(オス)という変換アダプタ(USBの規格上は在り得ない?)があって、それが改造のベースに使われています

今回の素材とレシピ

今回はアーベルのMini-Aプラグ←→Aレセプタクルなケーブル(AUM20MA02)と、シグマA.P.Oの小型USB 1.1 HUB(SHBF4)を素材として使いました。

usb_hub_03es_1.jpg

アーベルのケーブルは1mもあるのだけど、USBのコネクタを変換したいという目的から考えると、そんな長さは必要ありません。たかがケーブルとはいえ持ち運びにはけっこうかさばってしまい、ノートPCを持ち歩く生活から脱却して、荷物の軽量化を計ろうとしているワタクシ的にはかなりNGです。単に短くしてしまうという方法もあるのですが、たとえばUSB-シリアルアダプタとキーボード or Bluetoothドングルなどを使う場面もありうるし、シグマのUSB HUBは元もと使っていてコンパクトでシンプルなデザインが気に入っていたので、これらを“2個イチ”することにしました。

ということで、すでの持っていたUSB HUBはPCで使っているので、新しくW-ZERO3[es]本体に合わせて白を購入。で、いきなり分解です。

型番やらシリアル番号が書いてあるシールの裏にでもネジ穴があるかと思って触ってみてもそれらしき形跡はありません。ツメで留まっているのかと思い、USBのコネクタの間あたりをかみあっている部分を開くように力が働くように指で押えてやると、かなり隙間が開きます……。むむ……、接着材が剥がれるような感覚が……。なんと、ただ接着材で両側のケースが貼合わされているだけでした。ということで、けっこうあっさり分解できました。つまり、あとあとまた接着しないといけないということでもあるんですが、それはそれということで。

ケーブルは直接基板に半田付けされているので、それを半田コテを当てて取り去り、残った半田も半田吸い取り線できれいに取っておきます。

usb_hub_03es_4.jpg

でもって、ケーブルのほうもエイヤとニッパで切断し、ワイヤストリッパなりカッターナイフなりで被覆を剥きます。シールドされているので、シールドの網線はほどいてまとめておきます。見てのとおり線は4本しかありません。つまり、Mini-Aプラグ内部でIDピンとGNDは接続されています。もし、Mini-Bを使ったケーブルなりでこの“改造”をするのでしたら、その辺はよしなに処理してください(プラグがモールドされていると厳しいところでしょうが)。

usb_hub_03es_3.jpg

シールド線も基板に半田付けしますが、そのままでは線材が露出しているので熱収縮チューブで覆います。上の写真にケーブルとともに写っているのがそれです。

usb_hub_03es_5.jpg

次に新しいケーブルをHUBの基板に半田付けします。USBの規格ではケーブル内部の線の色が規定されていますので、通常なら元あったように半田付けすればOKです。メモしておくか、デジカメで撮影しておくと不安がなくてよいかもしれません。規格上は、赤=Vcc、緑=D+、白=D-、黒=GNDとなっているので、基板上のシルク印刷とケーブルの色を合わせておけばよいしょう。あと、シールド部分も半田付けしておきます。

写真にはありませんが、ケーブルが引っ張られたときに半田付けした部分に力がかからないように、ケーブルの被覆のある部分の端を細めのインシュロックタイで留めておき、ケースにひっかかるようにしておきます。

usb_hub_03es_6.jpg

ということで、あとは動作確認が済んだら、ケースを接着材で元通りに接着して完成です。

お約束ですが、このエントリを元に改造して、W-ZERO3[es]本体、USB HUB、USB機器が故障しても誰も責任は取りません。あくまで『your own risk』でお試しください。