W-ZERO3 [es]用のUSB HUBを作る このエントリーを含むはてなブックマーク Clip to Evernote

発売日の翌日に導入してから1カ月ほどとなるウィルコムのスマートフォン"W-ZERO3[es]"ことWS007SHですが、ようやく環境も整い、TRGproからCLIE PEG-SJ33と使ってきたPalmデバイスと涙のお別れもできそうなくらいに、移行作業も済みつつあります。

『涙』のとわざわざ書いたのは、Windows CE(Windows Mobile)を使えば使うほど、Palm OSとそのアプリの出来のよさ、そしてなによりセンスのよさを実感するからです。

とはいえ、2台も「PDA」を持ち歩くのはばからしいですし、実際、『機能』だけならW-ZERO3[es]に移行することもできますので、ここ数日はCLIEは持ち歩かない生活を送ってみています。

CLIEからのデータ移行(主にメモとKeyringによるパスワードデータベース)や、これまで使ってきたウィルコムのPHS「京ぽん2」ことWX310Kあたりとの違いといったことも順次書いていきたいと思いますが、今日は、W-ZERO3[es]用にUSB HUBを作った(?)というネタをお送りします。

いまさらのW-ZERO3[es]ネタ、それも最初のエントリがコレっていうのもナニですが、しばしおつき合いくださいませ。

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Mini-ABっていったい?

W-ZERO3も[es]になってはじめて、USBホスト機能が搭載され、外付けのキーボードやカードリーダ、USBメモリ、USB-シリアルアダプタなどが使えるようになりました。

とはいえ、PCと同じようなコネクタが付いているわけではなく、本体側コネクタとしてザウルスなど一部の機器で使われてきた「Mini-ABレセプタクル」が使われています。

もともとUSBではホスト側に使うプラグと周辺機器側のプラグの形状が異なっていて、誤って配線することがないようになっているのだけれど、1台の機器がUSBホストと周辺機器の両方になるUSB On-The-Goという規格では、ホスト側の「Mini-Aプラグ(下の写真)」と周辺機器側の「Mini-Bプラグ(これがおなじみのやつ)」の両方が挿せるような「Mini-ABレセプタクル」が導入されました。

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W-ZERO3[es]は、やはりUSBホスト側にもUSB周辺機器(PCに繋いでActiveSyncでデータの同期をするのが主な目的)にもなるので、「Mini-ABレセプタクル」が使われています。同じような機器でも、「Mini-Aレセプタクル」と「Mini-Bレセプタクル」のそれぞれが付いているものもありますが、おそらく、W-ZERO3[es]ではサイズの制約から「Mini-AB」が使われているのでしょう。

「Mini-Aレセプタクル」には「Mini-Aプラグ」、「Mini-Bレセプタクル」には「Mini-Bプラグ」しか挿さらないのだけど、「Mini-ABレセプタクル」はどちらのプラグも挿さるので、この端子に挿さっているのが「Mini-A」なのか「Mini-B」なのか......、つまりUSBホストとして動くべきなのか、周辺機器として動くべきなのか判断できる仕組みが必要です。USBは本来4ピンのところ、Mini-A/Mini-Bには5つのピンあるのですが、その『余分』とも思われるMini-A/Mini-BプラグのIDピン(4番ピン)がGNDに接地されているか(Mini-A)、開放されているか(どこにも繋がっていない=Mini-B)がキーになるのです。

W-ZERO3[es]の場合、本体側が「Mini-AB」ゆえに物理的にはどちらも刺さるので、Mini-Bプラグの4番ピンと5番ピン(GND)をショートさせて、Mini-Aプラグとして使うような改造もけっこうメジャーのようですね。実際世の中にはグリーンハウスの「GH-USBK5」というUSB Aレセプタクル(メス)とmini-Bプラグ(オス)という変換アダプタ(USBの規格上は在り得ない?)があって、それが改造のベースに使われています

今回の素材とレシピ

今回はアーベルのMini-Aプラグ←→Aレセプタクルなケーブル(AUM20MA02)と、シグマA.P.Oの小型USB 1.1 HUB(SHBF4)を素材として使いました。

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アーベルのケーブルは1mもあるのだけど、USBのコネクタを変換したいという目的から考えると、そんな長さは必要ありません。たかがケーブルとはいえ持ち運びにはけっこうかさばってしまい、ノートPCを持ち歩く生活から脱却して、荷物の軽量化を計ろうとしているワタクシ的にはかなりNGです。単に短くしてしまうという方法もあるのですが、たとえばUSB-シリアルアダプタとキーボード or Bluetoothドングルなどを使う場面もありうるし、シグマのUSB HUBは元もと使っていてコンパクトでシンプルなデザインが気に入っていたので、これらを"2個イチ"することにしました。

ということで、すでの持っていたUSB HUBはPCで使っているので、新しくW-ZERO3[es]本体に合わせて白を購入。で、いきなり分解です。

型番やらシリアル番号が書いてあるシールの裏にでもネジ穴があるかと思って触ってみてもそれらしき形跡はありません。ツメで留まっているのかと思い、USBのコネクタの間あたりをかみあっている部分を開くように力が働くように指で押えてやると、かなり隙間が開きます......。むむ......、接着材が剥がれるような感覚が......。なんと、ただ接着材で両側のケースが貼合わされているだけでした。ということで、けっこうあっさり分解できました。つまり、あとあとまた接着しないといけないということでもあるんですが、それはそれということで。

ケーブルは直接基板に半田付けされているので、それを半田コテを当てて取り去り、残った半田も半田吸い取り線できれいに取っておきます。

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でもって、ケーブルのほうもエイヤとニッパで切断し、ワイヤストリッパなりカッターナイフなりで被覆を剥きます。シールドされているので、シールドの網線はほどいてまとめておきます。見てのとおり線は4本しかありません。つまり、Mini-Aプラグ内部でIDピンとGNDは接続されています。もし、Mini-Bを使ったケーブルなりでこの"改造"をするのでしたら、その辺はよしなに処理してください(プラグがモールドされていると厳しいところでしょうが)。

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シールド線も基板に半田付けしますが、そのままでは線材が露出しているので熱収縮チューブで覆います。上の写真にケーブルとともに写っているのがそれです。

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次に新しいケーブルをHUBの基板に半田付けします。USBの規格ではケーブル内部の線の色が規定されていますので、通常なら元あったように半田付けすればOKです。メモしておくか、デジカメで撮影しておくと不安がなくてよいかもしれません。規格上は、赤=Vcc、緑=D+、白=D-、黒=GNDとなっているので、基板上のシルク印刷とケーブルの色を合わせておけばよいしょう。あと、シールド部分も半田付けしておきます。

写真にはありませんが、ケーブルが引っ張られたときに半田付けした部分に力がかからないように、ケーブルの被覆のある部分の端を細めのインシュロックタイで留めておき、ケースにひっかかるようにしておきます。

usb_hub_03es_6.jpg

ということで、あとは動作確認が済んだら、ケースを接着材で元通りに接着して完成です。

お約束ですが、このエントリを元に改造して、W-ZERO3[es]本体、USB HUB、USB機器が故障しても誰も責任は取りません。あくまで『your own risk』でお試しください。

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コメント

W-ZERO3[es]のUSBホストだと、電力的にかなり厳しいと思いますが、2ポート以上の同時使用でも、問題なく動くのでしょうか・・

自分で、試したときはセルフパワータイプのHUB以外一切デバイスを認識してくれませんでした・・・orz

Reichiさんコメントありがとうございます。
このHUBの場合ですと、接続するデバイスによりますが、現状2ポートまでの接続で問題ないことを確認しています。

たとえば、Bluetoothのドングルとキーボード、キーボードとSDカードリーダなどです。

Bluetoothドングルを含むケースだと3ポート同時使用はNGでした。消費電力が低そうな別のデバイスでまた検証してみます。

Reichiさんのケースで、HUB以外NGだったとのことですが、HUBそのものの消費電力にも差があると思いますので、それゆえではないでしょうか?

その後のご報告です。
残念ながら、まだ進展なしですが、内蔵用のHUBを探しているところです。

それまでのつなぎとして。SD-2070 2in1 と言う、HUB付きMOUSEを購入しました。

http://www.dospara.co.jp/goods_pc_parts/goods_pc_parts_spec.php?ic=62236

HUB部分の、消費電力が少なめのようで、先日のキーボードとUSBメモリを同時使用も大丈夫でした。TerminalServiceを使いたいので、マウスとHUBの合体は思ったより使い勝手が良かったです。

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