iPhone OS 3.0の目玉機能はなにげにMMSじゃね Tweet
仕事の関係でポストするのが遅くなってしましたが、いまから24時間ほど前にクパティーノで行われた発表会で披露されたiPhone OS 3.0について、感想をまとめておきたいと思います。iPhone Developer Programで提供されるiPhone OS 3.0のベータ版で遊んでみるつもりなので、今後は不用意なことは書けなくなってしまうのでいまのうちに......。
米国Appleのサイトでも発表会の様子のビデオが配信されているのですが、まだ時間がなく全編は見られていないので、このエントリは、基本的にEngadgetのJoshua Topolsky氏による記事「Live from Apple's iPhone OS 3.0 preview event」をベースとしています。ですが、このエントリに間違いなどがあれば、基本的には私の責任です。
日本のマーケットへの普及を加速するのは、MMSのサポート
これまで、よく「iPhoneってどうですか?」と訊かれるたびに、「携帯電話と思ったらダメですよ」と答えていました。実際、筆者も含め『2台目』として使っている人も多く、たとえば一昨晩に、"みたいもん"の、いしたにまさきさんが突発的に主催された「いきなりPoken Night」に集った人々のほとんどはiPhone 3Gユーザーでしたが、おそろしいことに多くは普通の『ケータイ電話』との二刀流でした。
理由はいろいろあるのでしょうが、個人的に普通の人にiPhone 3Gを勧めにくい最大の訳は、いわゆる「ケータイメール」が使えないことです。登場初期は絵文字もNGで、他キャリアからはケータイメールとは扱われず、迷惑メール対策の設定によっては届かなかったものがソフトウェアのアップデートやソフトバンクや他キャリアのネットワーク側の対応でいずれも使えるようになりましたが、今でも根本的な意味でケータイのメールとは異なっていることには変わりありません。
ケータイのメールは一般的なPCのメールとは違い、取りに行かなくても向こうから届く、その即時性が特徴ですが、iPhone 3Gのメールは、その点ではPCのメールそのものです。POP3やIMAP4に対応していますし、通常は「受信」という操作を意識することはほとんどなく、Microsoft OfficeやPDF文書といった添付ファイルも見られ、どこでも手軽にPCのメールにアクセスできることがすばらしいのは間違いありません。ですが、メールは相手があってのコミュニケーションで、モバイルの場面には、モバイルなりのニーズがあることを考えると、相手側が「ケータイ」のメール的な即時性を求めているシチュエーションにおいて、PCのメールが不十分であるのと同様に、iPhone 3Gのメールはちょっと足りない感じです。
即時に短いメッセージを送れるサービスとして、iPhone 3Gには「SMS(Short Message Service)」が搭載されてはいましたが、国内では利用者も少ないうえに、国内キャリア間の互換性がないため、ソフトバンクモバイルユーザー同士、実質的にはiPhone 3Gユーザー同士のやりとりに限られていたといっていいでしょう。
iPhone 3Gのメールとしてソフトバンクモバイルが提供する「@i.softbank.jp」というメールアドレスのメールは、メールの着信時に画面上に着信があったむねのメッセージを表示はしてくれましたが、その後で受信しなければ読むことはできず、基本的にはインターネットメールでした。
今回iPhone OS 3.0にて対応するとの発表があった、MMS(Multimedia Messaging Service)というものもおそらくあまりなじみのない名前だと思いますが、標準化された携帯電話向けのメールのプロトコルで、日本ではソフトバンクモバイルのケータイのメールサービス「S!メール」がMMSを使っています。
つまり、MMSは、日本のマーケットで考えられている「ケータイメール」そのもののサービスでといってよいでしょう。実際にはソフトバンクモバイルがどういう形で対応してくるのか、現在iPhone 3Gを利用中のユーザーへの対応はどうなるのかなど、まったくわかりませんが、少なくとも端末側はMMSに対応し、ソフトバンク自身のネットワークもMMSをメールに採用している以上、対応してこない理由はないだろうと期待しています。
ケータイやスマートフォンの先へ
国内のケータイ市場では、Felica(おさいふケータイ)の機能がなかったりはしますが、優れたユーザーインターフェイスでのカット&ペーストへの対応、アプリ内でのコンテンツ課金を可能にする「In-App Purchase」や、Bluetoothによるワイヤレスでのステレオヘッドセット接続(A2DP)への対応など、一般的に期待される機能だけではなく、次の「ケータイ」の姿をみせてくれる、データのネットワーク側からのプッシュを実現する「Push Notification」、Bluetoothを使ったアプリどおしのP2P、BluetoothやDock Connectorを介したハードウェア製品の開発も可能にするなど、相当アグレッシブな内容といえます。
昨日入手したばかりのPoken的な機能というか、かつてのPalmの赤外線での名刺交換的なものも、P2Pの機能で実現できるかも、とか、サーバ監視の通知もメールじゃなくて、Push Notificationで実現すると、なんかよさげじゃないとか(ってか、通知はこないほうがうれしいわけですが)、夢がひろがりんぐです。
さらにすばらしいのは、少なくとも国内のiPhoneユーザーが使っているiPhone 3Gでは、iPhone OS 3.0が提供するすべての機能を数カ月後には利用できるようになるということです。それも無償アップデートにてです。一部では誤解もあるようですが、A2DPやMMSに対応できないのは、日本では売られなかった初代iPhoneです。
まぁ、Flash対応のアナウンスはありませんでしたし、国内のケータイコンテンツ市場で主流であるケータイ向けのコンテンツは見られないままではありますが、そこは飛び越えて、ネイティブアプリや周辺ハードを含めた新たな価値を提供する市場が次に開けてくる期待のほうが大きいと個人的には思っています。
個人的にもiPhone 3G一本でいける気が
さらにアップルのリリースには載っていませんが、Engadgetのレポートによると、プレゼンテーション終了後の質疑応答にて、iPhone 3Gをモデムとして使用する「tethering」にも対応するという回答があった点は非常にうれしい限りです。曰く、端末そのものは対応できる状態で、あとはキャリアとの調整次第といったところのようです。ソフトバンクモバイルがどう出るかはわかりませんが、もし、対応してくれれば、個人的には日常的にデータ通信に使っているイー・モバイルはもちろん、いまいち速度もサービスエリアも微妙なUQ WiMAXも捨て、通話やケータイメールのために使っているドコモのケータイも捨て、iPhone 3G一本で行ける気がしています。