ただのデザイン家電ではない! アノ扇風機よりスゴイ!?「GreenFan」 このエントリーを含むはてなブックマーク Clip to Evernote

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猛暑と言われている今年の夏ですが、みなさんいかがお過ごしでしょうか? 筆者の場合、打ち合わせなどで外出するほかは、主に家で仕事しているのですが、健康のためにも、なるべくエアコンに頼らないようにしています。

とはいえ、この暑さ。エアコンをただ止めてしまっただけでは、相当厳しいのも事実です。PCやMacなどから出る熱が、部屋の一角にこもってしまったり、窓を開けても、必ずしも風が通るわけではないからです。

エアコンを使う場合も、部屋の場所によって温度差があるので、サーキュレーターなどがあるほうが、冷房や暖房の効率は上がるでしょう。

すでに、夏も後半に突入していますが、今日は拙宅でこの夏導入した「GreenFan」と、以前から使っている「Vornado」について紹介してみたいと思います。GreenFanは、一見ただのデザイン家電にしか見えませんが、ダイソン卿の「エアーマルチプライヤー」より優れていると個人的には思っています。

扇風機のまったく新しいカタチ

今年の5月1日。GreenFanの開発元であるバルミューダデザインの寺尾玄さんが、原宿のAssistOnさんでGreenFanのデモンストレーションをされるというので、伺ったのがGreenFanとの出会いでした。

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製品の概要を知るまでは、単なるデザイン家電なのかと思っていたのですが、実際に説明を伺い、その風を体感したところで、これは、扇風機の「再発明」であるといっていい製品だと思いました。「やさしい風」であること以外にも、最小4W、最大でも20Wという低消費電力であることと、静粛性も非常におおきな特徴です。

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高さの調整に関しては、2つの長さのポールが付属していて、それを交換するというスタイルであるため、任意の高さに調整することはできません。その代りに、非常にすっきりしたシルエットが得られています。

ダイソンのとは全く違う方法で空気の塊をシャワーのようにする

これまでの扇風機は、どうしても風にあたりつづけると、辛い感じになってしまします。偶然にも、北半球のこの夏に市場で注目を浴びている2つの製品、ダイソンのエアーマルチプライヤーもバルミューダデザインのGreenFanもその問題の解決を目指した製品であり、それぞれ、まったく別のアプローチを採用しているのは興味深いところです。いずれも、21世紀の「扇風機」の姿へのチャレンジをしているという点で、すばらしいといえます。

ダイソン製品は店頭で体験しただけですので、直接の評価はできませんが、すくなくともGreenFanの場合、睡眠時に風にあたりつづけても、まったく違和感がない自然な感覚の風であるところはすばらしいです(とはいえ、乳幼児やご高齢の方がいらっしゃる場合は、十分に注意してください)。

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店頭でダイソン製品とGreenFanを比べると、その静粛性の差がはっきりとわかります。それは、原理的な違いによるものです。GreenFanは、2重構造のファンにより、ファンの中心と外側の空気の流量を変えることで、ファンの前方でいったん空気の塊をぶつけ合い、広く拡散させるというアプローチを取っているだけで、基本は普通の扇風機であるのに対し、エアーマルチプライヤーの場合は、本体内のファンで空気を圧縮し、吹き出し口から高速で噴出させることで、後ろの空気も含めて噴出させるという方法であるからです。

たとえば、閉めきった部屋で、キッチンの換気扇を回したときに、窓を開け閉めしてみると、騒音が大きくかわるのを体感できますが、それと同様に、狭い吹き出し口から空気を高速に吹き出させる必要があるエアーマルチプライヤーでは、どうしても騒音を抑えるのが難しいといえると思います。

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さらに、GreenFanでは、ファンガードやファンのブレードそのものも、翼断面形状にして、空気抵抗を抑えるなど静粛性のためのデザインがなされています。

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また、ファンのブレードの枚数が多く、DCブラシレスモータの採用により、風量を確保しながらも、最弱時には250rpmという低速回転をすることで、動作音を抑えるのに成功しています。とはいえ、ここは弱点にも繋がっており、DCブラシレスモータが動作する「チリチリ」、「ジー」というような音が、得意低速回転時には目立つ傾向があり、人によっては気になるだろうと思います(実際、Amazonのレビューでもこれに苦言を呈している方がいらっしゃいます)。個人的には十分許容できる音ではあるのですが、これについても、バルミューダデザインさんも改善したい点だと考えておられ、将来は音を抑えるようにしたいとおっしゃっていました。

従来の扇風機に引っ張られない新しいデザイン

そのほか、デザイン的にも、持ち手や、コントローラなどのデザインも、これまでの扇風機とは異なったアプローチが採用されています。

通常扇風機の持ち手は、ファンガード部分に付いていますが、GreenFanの場合は、モーター部の後ろ側の切り込みがその役割を担っています。これについては、たしかにデザイン上はシンプルですし、バランスもいいのですが、移動する際に、ファン部分が下を向いてしまうため、移動後に上を向かせるのが面倒なので、筆者はついつい、持ち手部分ではなくて、モータ部分をもって運んでしまいます。ここは評価の分かれるところだと思います。

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また、扇風機といえば、通常はコントローラ部分は、下の台座の部分にあり、テーブルでの生活が中心の場合、いちいちしゃがむか、足で操作することが多いのではないでしょうか? GreenFanではモーター部の上部に4つのスイッチがあり、それで、電源ON/OFF、風量の変更、首振りの有無、切タイマーの制御が可能です。

設定内容は台座部分のLEDで表示されますが、タイマーが有効な場合は、輝度が下がるなど細かい気配りがなされています。個人的にはアンビエントセンサーがあって、暗いところではもうちょっと輝度が下がってくれるといいなぁとは思いました。

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そのほか、細かいところですが、ファンガードの取り付けがマグネットになっていて、特に上下が定まっていないところも、すばらしいなぁと思いました。取り付け時に、マグネットの位置を合わせるのが面倒に感じられるかもしれませんが、適当にハメて回転させれば、マグネットの位置があったところで固定されるので簡単です。

普通の扇風機ですと、ファンガードの取り付け方向が上下間違って付けられていることも多く、安全上も問題がありますが、ユーザーにそうしたところを考えさせないことも大事なことでしょう。

パッと見は気づかないポイントですが、GreenFanでは首振り構造のために、別のモータを搭載していて、ファンの回転速度と関係なく、一定の速度で首振りをするようになっています。個人的には、首振りの幅が調整できると最高なんですが、通常の首振り機構であるなら調整は難しいでしょうね。GreenFanは、ある程度離れて当たるほうが心地良く、また風の到達距離も長いところを考えると、現状の首振り幅は設置場所によっては、やや広すぎではないかなという気がします。

電源はACアダプタ

GreenFanの場合、モーターとしてDCブラシレスモーターが使われていて、最弱運転時4W、最大でも20Wと低消費電力なのもあり、小型のACアダプタ(12V 2.0A)が使われています。最初に見たときは、本体のデザインが優秀なのに対して、ここがごく普通のアダプタというのは残念な気がしました。

これについて、バルミューダデザインの寺尾玄さんに伺ったところ、ACアダプタは、PSEマークの取得が必要な部分で、新たにこの製品のためにデザインすることはコスト的にも難しかったとのことでした。逆にいえば、GreenFanのビジネスが大きくなり、専用のACアダプタを設計・製造できるようになれば、本体に見合ったデザインのACアダプタをつくることができるでしょうし、きっとそうされることでしょう。

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ちなみに、本体側は直流12Vしか使わない構造の本機では、扇風機本体はPSEの対象とならず、ACアダプタにすでにPSEを取得している製品を安価に調達すればいいということなのですね。

気の利いたパッケージ

Apple製品など、最近ではパッケージもデザインが重視されているものが多く、このGreenFanもパッケージには気を配っていることが感じられます。購入者がダンボールの蓋を開けたときに目に留まるところに、開発チームからのメッセージが書かれています。バルミューダデザインさんの「新しい時代の扇風機を普及させ、世界を変えたい」とでもいうこの製品に対する思いと、購入者をその共犯者にしようという企てを感じます。

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冬場であっても、サーキュレータとして使うことが想定されるGreenFanですが、そうはいっても、季節家電としてオフシーズンは箱に入れてしまっておくことも多いでしょう。箱は比較的コンパクトですし、なにより緩衝材もすべてダンボールでできているところも環境負荷を考えればすばらしいことです。

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サーキュレータの定番といっていい「Vornado」

GreenFanも、最大風量の設定はサーキュレータとして使う設計となっていて、サーキュレータとしても使えるような風量ではあるのですが、首の上下の調整角度の範囲があまり広くないので、たとえば吹き抜けがあるような場所やロフトなどにたまった熱い空気を撹拌するには、専用のサーキュレータがあるといいでしょう。

また、GreenFanは、直接感じるための風を起こす装置として、サーキュレータを部屋全体の空気の入れ替えや、熱の偏りをなくすための装置として併用してもいいでしょう。

サーキュレータは、安価な製品も多く出まわっていますが、それらのほとんどは、単なる扇風機をサーキュレータ的な形にパッケージングしただけで、本来サーキュレータに求められる、遠くまで空気を直進させて運び、部屋の中の空気を撹拌させるという能力に不足しているものが多いと思います。

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筆者が、10年前くらいまでロフトがあるアパートに住んでいたときに、ロフトにこもった熱い空気を入れ替えるために購入したのが、Vornadoという製品です。これは、単なる扇風機ではなく、独自のファンブレードの形状や、前後の吸排気口の独自の形状によって、空気をより遠くに送り出す設計となっているのが特徴です。

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筆者が持っているものは、かなり古く、米国製ですが最近のものは中国製になっているようです。また、風量も無段階ではなくて、何段階かの調整になっているなど、時代によってデザインも異なってはいますが、そのサーキュレーション能力は非常に高いと思います。

Vornadoの場合、直接の風は非常に暴力的ですが、一旦壁や天井にぶつけた風が、循環してくる風はやさしいものになっています。向きや強さなどに注意は必要でしょうが、就寝時などに窓を開けて空気を循環させれば、エアコン無しの夜を過ごすことも可能でしょう。


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