「Toy Story 3」は、ディズニーが苦手な大人にこそオススメ。前作を観てなくても大丈夫 このエントリーを含むはてなブックマーク Clip to Evernote

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先日、アジャイルメディア・ネットワーク(AMN)さんのご紹介で、ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンさん主催の「トイ・ストーリー3」の試写会に行ってまいりました。

Toy Storyを制作している「Pixar(ピクサー・アニメーション・スタジオ)」といえば、個人的には1986年のSIGGRAPHで公開された「Luxo Jr.icon」の印象が強く、それが収録されたLaser Disc「State of the Art of Computer Animation Vol.2」(1988年、制作: Odyssey Visual Design、日本版販売元: 創美企画)を買い求めたくらいです。

それくらいに印象的だったPixarとの出会いでしたが、それ以降は、Toy Storyにしても、正直「子ども向け」という印象が拭えないことに加え、ディズニーが苦手なこともあって、完全な喰わず嫌い状態でした。

個人的なディズニーに対する苦手意識というのは、「ディズニーランドという聖地 (能登路 雅子 著)」で語られているところと非常に重なるものがあるのですが、人々が必然的に抱えている不安や迷い、不幸といったものを見ないで済むようにしている印象が強いところにあります。「夢の国」と言われるように、確かにいやなことは忘れて愉しい時間を楽しんで、明るく明日に踏み出すことも大事ではありますが、なんだかそればっかりじゃなぁというのが正直なところです。

もちろん、Toy StoryなどのPixar作品は、完全にディズニーのそれというわけではないのですが、ディズニー配給ですし、そういう印象ゆえに、食わず嫌いな人も、けっこういるのではないでしょうか?

"大人映画"としてのToy Story 3

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そんな筆者でしたが、AMNさんからの案内にあった「"大人映画"としてのトイ・ストーリー3」という一文が気になり、試写会に参加してみることにしました。映画そのものについては、何を書いてもネタバレになりかねないので、見ていただく以外にないのですが、個人的には、観てよかったという一語に尽きますし、この試写会に参加することなく、観ないでいたら人生の上で大きな損失だった(ってのは、いささか大げさですが)と言ってもいいように思います。

個人的に強くメッセージを感じ取ったテーマは、人の存在の意味、生きるうえでの不安、迷い、喜び、モノや何かを所有することの意味、リーダーシップや気持ちを伝えることの難しさ、他人の気持ちを想像することの難しさなどです。観る人の世代や、これまでの人生での経験の違いで受け取るものは違うとはいえ、いろんな感情を強く動かされる、濃密な作品だといえます。

前2作を観てなくても愉しめます!

これを書いている現時点でも、「Toy Story」、「Toy Story 2」ともに観ていない筆者ですが、試写会にあたって、敢えて前作を観ないで行くことにしました。3作目ということだと、前作を観てない人々にとっては、なかなか行きにくいし、行っても理解できないかもしれないという不安はあるものですが、前作を観てない人にとって、この映画がどう見えるのかというのに興味があったからです。

結果的には、前2作を観ていればわかる「+α」的な要素はあるのかもしれませんが、前作を観てなくても、完全に愉しむことができました。試写会後に、当作品の宣伝プロデューサ、百合草太郎さんにその点をお話させていただいたところ、「3」と付いてなくてもいいんじゃないかというようなことをおっしゃっていましたし、リー・アンクリッチ監督も以前「この映画は単なる続編やシリーズではない」と語っていたというように、単体の作品としての完成度が非常に高いといえます。

むしろ、本作のあまりの完成度の高さに、前2作を観たら、この高い期待を裏切られるのではないかということに不安を感じるくらいです。

映画を宣伝することの困難さ

試写会の最後には、AMNの徳力さんと、百合草太郎さんのトークセッションがあったのですが、その中でも、こうした作品を、観るべき人にどうやったら観てもらえるかという難題について語られ、会場に来た人々に対して「宣伝部員になってほしい」という気持ちを言われました。

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映画を観たあとで、涙腺が緩くなっていた筆者は、ぜひともいろんな人に観てほしいという気持ちでいっぱいでしたが、たとえば、完全にディズニー作品喰わず嫌いな過去の自分に対して、どうやったら、この映画を観てもらえるかを考えただけでも、困難な仕事だというのがひしひしと感じられました。

ちなみに、今回の試写会では、ストーリーに集中してほしいということで、敢えて2Dでの上映でした。一歩間違えれば3Dスゲーみたいな感想で終始してしまいがちであるところを考えると、まずは2D(吹き替えじゃなくて日本語字幕)で観られたのは非常によかったと思います。個人的には、あらためて3Dでも観るつもりですが、まずは、2Dで観ることをオススメしたい......と思ったら、2Dだと吹き替え版での上映しかなさそうですねぇ。ううむ。

上映館情報を確認しようと、公式サイトを見ると、筆者などは、ああ、このノリ、やっぱり自分には合わないかも、と思うような感覚を覚えてしまうのですが、同じように感じてしまったアナタ、ぜひ、映画館に足を運んでいただきたいと思います。本日、7月10日公開です。



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