玉井夕海さんの「空想ラジオ番組風ライブ」にて このエントリーを含むはてなブックマーク Clip to Evernote

昨晩、外苑前のライブハウスというかライブバー「Z.imagine」であった、玉井夕海さんのライブに行ってきました。"新番組『Fantasista』 by 玉井夕海"と題する、3回シリーズのライブの1回目。『新番組』と銘打たれていますが、架空のラジオ番組風という設定で、MC長めのライブといえばわかりやすいでしょうか? いままでのライブでは語られなかった、曲の誕生の裏側などのエピソードは興味深いものでした。

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印象に残った話の1つが、ドキュメンタリ映画などの制作などを手掛け、映画のバリアフリー化目指すシグロが、バリアフリー上映のために「THE CODE/暗号」のバリアフリー版制作をされた際のエピソードです。副音声の脚本を担当された玉井さんは、バリアフリー版の監修をされたに関わられた東京大学先端科学技術研究センターの福島 智 准教授に、玉井さんの曲を"聴いて"もらう約束をされたのだそうです。

※エントリー公開当初、福島先生が「監修」されたとしておりましたが誤りでした。申し訳ございません。正しくは、福島研究室のメンバーである大河内直之さんが監修されたそうです。

しかし、福島先生は9歳で失明、18歳で失聴され、玉井さんの曲を音で聴くことはかないません。でも、音楽を先生に届けたいと思った玉井さんは、福島先生に相談されます。すると、「(点字の)楽譜だったら読めます。音の記憶をたどって再現できます。」と言われ、普段、曲を作る際にも譜面に落とさない玉井さんが、自ら点字楽譜の書き方を学び、書くことにされたそうです。そんな玉井さんは、文部科学省版「点字楽譜の手引」を持っておられました。

音声でのコミュニケーションや「音楽」は、地球上に音を媒介する空気が存在して、「声」や音を出す「楽器」、「耳」を持つからこそ成立しているわけですが、「しゃべり言葉」が「文字」である程度代替でき、さらに「点字」に訳せるのに対し、音楽では事情が異なります。詩は伝えることができても、曲は簡単ではありません。音楽を伝えること、感じることとはなんだろう、そもそも音楽とは何かということを強く思いました。

玉井さんが、点字楽譜で福島先生に伝える最初の一曲として選ばれたのは「脈動変光星」という曲です。この曲は玉井さん、監督の山本草介さん、海津研さんらが作った映画「もんしぇん」のテーマ曲であり、映画の世界をよりすばらしいものにしていました。今回のライブでも演奏されましたが、やはり非常に心を揺さぶられる一曲です。これが、映画の記憶があるからなのか、曲そのものの魅力なのか、その双方なのかは僕自身よくわかりませんが......。

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今回のライブで紹介されていた、玉井さんのBlogへのコメントとして最近寄せられた「もんしぇん」への長文の感想、書き出しは、ドキッとする毒舌コメントですが、非常に愛に溢れる感想で必読な感じですが、現在、もんしぇんはDVD化もされておらず、サントラ版のCDも劇場などで売られただけで流通していないのは、非常に残念です。

ちなみに、この「空想ラジオ番組風ライブ」の今後のスケジュールは、第二回が2009年11月10日(火)、第三回が12月13日(日)で、いずれも外苑前のZ.imagineにてということです。




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